「虫歯のこどもの誕生日」
「虫歯のこどもの誕生日」堀口忠彦
柔らかいタッチの絵柄とこどもの声がマッチしていてとてもほんわかしているのだけど
実際歌っている内容は実はかなり困ったこと。
虫歯になると大変だという教訓を、わかりやすく説教くさくなく教えてくれる歌。
虫歯のとぼけた雰囲気と、子供が一生懸命歯を磨く様子(すでに手遅れ)が、かわいい。
そして懐かしい。
堀口忠彦さん(別名とこいったさん)は、私の故郷の静岡県のテレビ局のキャラクターやアニメーションを手がけていたので、
さらに輪をかけて懐かしさ倍増。
「プカドン交響楽」チャールズ・A・ニコルズ、ウォード・キンボール
Disney '53 - Toot Whistle Plunk and Boom
「プカドン交響楽」
チャールズ・A・ニコルズ、ウォード・キンボール/アメリカ/1953
ディズニーの異色の短編。
この年この作品でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しています。
ディズニーならではの愛嬌たっぷりのキャラクターではなく、
デザインされたイラストタッチの絵柄が特徴的。
色合いもおしゃれで、同時期勢いのあったUPA(「ジェラルドマクボインボイン」など)に影響を受けたのかしら。
楽器の歴史を面白おかしく教えてくれる楽しい作品。
英語がわからなくても、絵や音楽や動きなどでなんとなくわかるような気がする。
- ちなみに原題の「Toot Whistle Plunk and Boom」は楽器のなる音を意味しています。
6月6日は楽器の日、と言うことで。
『ムーミン谷の彗星より 「The Comet Song」MV by Björk 』
【期間限定公開】ビョーク「The Comet Song」ムーミン版・ミュージックビデオ~劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーションより
『ムーミン谷の彗星より 「The Comet Song」MV by Björk 』
長らく幻の作品となっていた「ムーミン パペットアニメーション シリーズ」の1作品。
一昨年、トーベヤンソンの生誕100周年を記念して公開されました。
その時主題歌を担当していたのが、ビョークでした。
公開記念で配信されたのがこちらの映像。
(期間限定をうたっているけど、まだ見られるって事は限定ではなくなったのかしら)
巻き上がる砂嵐、光る尾を引いてゆっくり落ちてゆく彗星、
赤い光を浴びて全てが赤くそまる不思議な景色
音楽と相まって、なんとも神秘的。
そして、立体アニメーションならではの
どうやって作っているの?と思わずにはいられない作りこみや描写、
実存するものを動かしているからこその若干の怖さ、
(ポルターガイストっぽさと言うか、光と影の作り出す雰囲気とか、なんというかうまく言えないけれど。。。)
個人的にワクワク感が止まりません。
ちなみに、今日は6月3日でムーミンの日(日本だけ?らしい)と言うことで。
「シンデレラ」ロッテ・ライニガー
Cinderella (Aschenputtel) - Lotte Reiniger (1922)
「シンデレラ」ロッテ・ライニガー/ドイツ/1922
これは影絵のアニメーションです。
ところで、
映写機もプロジェクターも、強い光を放ちスクリーンに像を映し出す。
テレビもPCもスマホも町中に溢れるデジタルサイネージも、発光して像を描く。
しかし、当たり前のことすぎて、光っているということを忘れてしまいがちです。
映像は光っています。光で出来ています。
そして、光の中に何かを描くには、影が必要です。
要するに、映像は「光」と「影」で出来ているのです。
何が言いたいかというと、
つまり、
影絵アニメーションは、もっともシンプルな映像だと言っても過言ではない
ということです。
映画が誕生したのは1895年、
(細かく言うと、もう少し前に似たようなものもあったのだけれど)
このアニメーションはそれから数えて27年後に作られました。
(ちなみに、同じころに発表された映画は、
ドイツ表現主義の金字塔「カリガリ博士」(1920年)や、チャップリンの名作「キッド」(1921年)、ホラー映画の元祖「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922年)などがあります)
最も有名なシンデレラ、ディズニーの「シンデレラ」が作られたのは1950年、
この作品よりもさらに28年後のことです。
昨年公開された、実写の「シンデレラ」は、そこからさらに65年後、
ライニガーのシンデレラからは93年後、映画が誕生してからは120年後のことです。
アニメーションの母と呼ばれ、影絵アニメーションのパイオニアであり、女流作家の先駆けでもあるロッテ・ライニガー。
6/2は彼女の誕生日、ということでGoogleのロゴが彼女や影絵アニメーションがモチーフになっていたことに便乗して。。。
こちらも貼り付けておきます。
Lotte Reiniger’s 117th Birthday Google Doodle
「JUE」ジョルジュ・シュヴィツゲヴェル
「JUE」ジョルジュ・シュヴィツゲヴェル/スイス/2006
だまし絵のようなアニメーションです。
規則正しいような
不規則なような
まるで時空の歪みに迷い込んでしまったかのような
自分の感覚が正しいのか間違っているのか疑いたくなってきます。
画面を見つめていると、被写体や視点は流動的にどんどん動いていき、
ミクロやマクロの視点まで寄っていたり、
かとお思えばいつの間にかぐんと引いて風景を俯瞰で眺めていたり、
目や頭が忙しい。
強制騙され装置。みたいな。
『線と色の即興詩』ノーマン・マクラレン
『線と色の即興詩』ノーマン・マクラレン/カナダ/1955
アニメーションの発明家、ノーマン・マクラレンによる実験的な作品。
フィルムに直接傷をつけたり色をのせたり、
1コマ1コマを描いていく手法「ダイレクトペイント」や「シネカリグラフ」
で作成された作品です。
一見何の脈絡もなさそうな抽象的な記号のような図柄がですが、
音のタイミングや、音質とのシンクロが素晴らしく、
色も美しく
動きの面白さ、絵柄のユニークさなど
非常に伸びやかで自由で
アニメーションの楽しさを味わえる作品です。
「お坊さんと魚」 マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド
「お坊さんと魚」
マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド/フランス/1994
音楽に合った抑揚たっぷりのコミカルな動き、
陰影のはっきりとした線、
滲んだような背景、
色調を抑えたセピア調の色合い、
魚を捕まえたいお坊さんと逃げ続ける魚
単純なストーリーでありながら見る人を飽きさせない数々工夫。
物語の展開にはちょっと複雑な思いや余韻が残り、
絶妙なバランスと魅力を持った作品です。