『ストリート・ミュージック』ライアン・ラーキン
『ストリート・ミュージック』ライアン・ラーキン/カナダ/1972
street musique (Ryan Larkin)
音楽は、思い立ったらすぐ演奏できるけれども、
録音しなければ宙に消え、残るものは余韻だけです。
(余韻もいつか消えてしまいますが)
音楽の、自由と儚さ。
時間もかかり、即興性も薄い、
なおかつ記録することが大前提にあるアニメーションとは
真逆のものと言っても良いのではないでしょうか。
ストリートミュージックとなると特に。
そんな音楽の特性を、アニメーションで表現しています。
音楽に合わせてメタモルフォーゼする様子は、本当に細胞分裂しているようで、
人も物も動物も風景も自由自在に同化し、変化し、気持ちいいほどよく変態します。
同時に少し気味が悪い。
固体なのか、液体なのかわからないほどとても柔らかそうで、
その柔らかさゆえに、何に変化しても大体は受け入れられるのだけれども、
その柔らかさゆえに、進化途中の何か不完全な形にも見受けられ、
内臓っぽいというか、微生物っぽいというか、
不完全っぽい形のまま、次から次へと別の形へと流れていくのです。
キモカワイイ、みたいな感じでしょうか。
ギターと手と人と鳥が合体したような、印象的な音楽人間が出てきます。
とりわけインパクトが強く感じるのですが、彼は音楽の象徴なのかしら。