『捨て猫トラちゃん』政岡憲三
『捨て猫トラちゃん』政岡憲三/日本/1947
今年の夏は良かったね〜♪
で始まるこのアニメーションは、
夏のことを唄いながら、雪がしんしんと降り積もり、季節は冬です。
年の瀬の雪の日、
一年を振り返り、夏はよかったと思い出しているのです。
何が良かったのか、最後まで見て確かめてくださいね。
さて、
時間は遡り、夏、
一匹の捨て猫に出会うところからお話が始まります。
ここからは猫ざんまい
日本画の稚児のような、
滑らかで柔らかそうなフォルムと
仔猫の動きと人間の子供を融合させたような動きがたまりません。
ニャにょ、ニャにょ(嫌よ、嫌よ)
と言う言い回しもなんとも萌えます。
最初トラちゃんは、他の猫と違う描かれ方をされています。
同じ猫でありながら、
あくまで人間とペットのような関係で、
洋服も着ていなければ、話すこともできません。
しかし、時を経て、他の猫たちと兄弟のような関係になっていきます。
1947年という時代を考えると、
戦争などで家族を失った孤児が多かった頃、
戦後の混乱の中、
皆で仲良く助け合って生きていきましょうというメッセージだったのでしょう。
お母さんが
マリアさまのような、
包み込むような大きな愛、
大きな存在であることがとても印象的です。