たんぺんメイキング拾い

Webで見られる短編アニメーションのメイキングを拾い集めています。

『捨て猫トラちゃん』政岡憲三

『捨て猫トラちゃん』政岡憲三/日本/1947

 

今年の夏は良かったね〜♪

で始まるこのアニメーションは、

夏のことを唄いながら、雪がしんしんと降り積もり、季節は冬です。

 

年の瀬の雪の日、

一年を振り返り、夏はよかったと思い出しているのです。

 

何が良かったのか、最後まで見て確かめてくださいね。

 

さて、

時間は遡り、夏、

一匹の捨て猫に出会うところからお話が始まります。

 

ここからは猫ざんまい

 

日本画の稚児のような、

滑らかで柔らかそうなフォルムと

仔猫の動きと人間の子供を融合させたような動きがたまりません。

ニャにょ、ニャにょ(嫌よ、嫌よ)

と言う言い回しもなんとも萌えます。

 

最初トラちゃんは、他の猫と違う描かれ方をされています。

同じ猫でありながら、

あくまで人間とペットのような関係で、

洋服も着ていなければ、話すこともできません。

しかし、時を経て、他の猫たちと兄弟のような関係になっていきます。

 

1947年という時代を考えると、

戦争などで家族を失った孤児が多かった頃、

戦後の混乱の中、

皆で仲良く助け合って生きていきましょうというメッセージだったのでしょう。

 

お母さんが

マリアさまのような、

包み込むような大きな愛、

大きな存在であることがとても印象的です。

『ある1日のはじまり』ウィンディ・テルピー、アマンダ・フォービス

『ある1日のはじまり』

ウィンディ・テルピー、アマンダ・フォービス/カナダ/1999

When the Day Breaks (Amanda Forbis & Wendy Tilby )

 

視線の誘導、イメージの繋がり。

イメージの誘導、視線の繋がり。

 

「映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』オープニングタイトル」 オリヴィエ・クンゼル、フロランス・デガ


「映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』オープニングタイトル」

オリヴィエ・クンゼル、フロランス・デガ/アメリカ/2002

 

ホラーでも、ミステリーでも、シリアスな話でもなく、

人間ドラマを描いた映画なはずだけれども、

こんなにもトーンもテンションも低めなオープニング映像が始まり、

最初とても驚きました。

なんとも言えない絶妙なバランスに、?と!が入り混じった気持ちになったことを覚えています。

 

不安定なリズムにマイナーな音階、

抑えめの音量にジャズのような自由な音、

記号的かつシンプルで、デザイン的なアニメーション、

要は、とてもスタイリッシュなのです。

このオシャレな雰囲気が、ソウルバスのOPアニメーションや、古いヨーロッパ映画を彷彿とさせます。

映画の時代設定が1960年代ですから、それを意識してのOPアニメーションなのでしょう。

 

今となっては、かなり好きなオープニングアニメーションです。

 

ちなみに

不思議なこの音楽、かのスターウォーズのテーマソングで有名な、

ジョン・ウィリアムスなんですね。

『ベティ・ブープ アンド グランピー』 マックス&デイブ フライシャー

ベティ・ブープ アンド グランピー』フライシャー兄弟/アメリカ/1935

Betty Boop and Grampy (Max & Dave Fleischer)

 

おなじみベティちゃんが、発明家のグランピー※に会いに行くお話です。

 

※グランピーには、「おじいちゃん」(幼児語)という意味と、「不機嫌」という意味があるようですが、どっちだろう?あんまり不機嫌ぽくないから、おじいちゃんかな?

 

フライシャーお得意の、ふにゃふにゃのアニメーションにハチャメチャな展開。

THE ENDと出るけど果たしてみんなどうなったのか? 

あの時食べたものや飲んだものはまさか…!

グランピーはサイコパス!?

なんて考えちゃったりもしますが、

 

さて、 

ベティが歌いながら街を闊歩するシーン、

背景が少し他と違うことにお気づきでしょうか?

このシーンは背景がミニチュアセットの実写です。

 

ステレオオプチカル という、

ミニチュアセットの前にガラスの板を立てて

そこにセル画を貼りつけ、撮影を行う技法で作られています。

後から合成しているのではありません。

ミニチュアセットを円形状に作成し、

回転盤をつけて少しずつ回転させて撮影しているから動いて見えるんですね。

 

ところで

フライシャー以外にこの技法を使っている人はいるのかしら?

アニメーションの発明王と言っても過言ではないフライシャー兄弟ですが、

この手法はあまりにも手がかかり過ぎていて、あまり浸透しなかったようですね。

『楽しい復活祭』ウィルフレッド・ジャクソン

『楽しい復活祭』ウィルフレッド・ジャクソン/アメリカ/1934

Disney Silly Symphony  Funny Little Bunnies(Wilfred Jackson

 

ディズニーのシリーシンフォニーシリーズの43作目。

ミュージカルを基本とした短編アニメーションで、

アメリカでは昔、

映画館で映画と一緒に短編アニメーションが併映されていたと言います。

シリーシンフォニーシリーズは、その流れで作られたアニメーションです。

 

最近でも

映画の本編開始前に鷹の爪団のショートアニメが流れたり、

ピクサーやディズニーの長編アニメーションでは必ず短編も併映されたり、

この動きが復活しつつありますね。

 

さて、

この作品はイースター(復活祭)の準備にいそしむウサギたちのお話です。

卵型のチョコレートを作ったり、卵に絵を描いたり、

イースターの準備の工程を楽しく賑やかに描いています。

 

日本ではあまり馴染みがないイースターですが、

(最近はディズニーランドのイベントで認知度が上がってがきていますね)

キリストの復活をお祝いするお祭りであり、

ことに信仰深いアメリカでは、とても重要な日なのではないでしょうか。

これに出てくるウサギたちくらい大騒ぎになるのも無理もないのかもしれません。

まるで文化祭の前日みたい!

イースター当日のお祭りを描くのでなく、

前日準備をワイワイ描いているのが、とっても興味深いです。

 

きっと見たら卵に絵を描きたくなるはず。

『5メートル80』ニコラ・ドゥヴォー

『5メートル80』ニコラ・ドゥヴォー/フランス/2013

5 METERS 80(Nicolas Deveaux)

 

キリンが出てきます。

プールが出てきます。

飛び込みます。

それだけです。

ただそれだけなんですけどね、

ものすごいインパクト。

 

定点カメラやさりげないカメラワーク、技術はもちろんのこと、

イデアの勝利。

 

何も考えずに見てください。

『ピングーの夢』 オットマー・グットマン

『ピングーの夢』

オットマー・グットマン/スイス/1980年代後半〜1990年代前半

Pingu's Dream(Otmar Gutmann

 

クレイアニメで有名な、ピングーのファーストシリーズの1エピソード。

眠りについたピングーが、夢の中で様々な奇妙な体験をするお話です。

一部ではトラウマ、と言われているようですが、

その原因は、後半に現れるあるキャラクター。

サイズもおかしければ、妙にリアルで、口を開けたところは特に衝撃的。

動物、というよりは口のおばけみたい。。。

メイが森の中でトトロに出会うシーンを彷彿とさせます。

私はとても好きなんですけどね。。。